光の伝達でワイヤレス発光


普段、ストロボを使う人ならピンと来ると思いますが、光学スレーブを使う方法です。
制御とまではいかず、光らせるだけですが。

一般的なクリップオンストロボには、電気接点からの信号で発光する機能の他に、 光に反応して発光する機能が付いています。これを光学スレーブと言います。

この原理で行けば、電気的な繋がりは一切なしに、一度に何10灯ものストロボを光らせる事だって可能です。

つまり、RX100の内蔵ストロボをバウンス発光させて、 これにメインのストロボを、光学スレーブで発光させるという、実に単純なお話です。バウンスとはなんぞや?という人はこんな記事に辿り着いてないと思うので、細かい説明は省いて先へ進めます。

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RX100には、M2を除き、ホットシューが無いだけでなく、ワイヤレスモードもシンクロターミナルもリモートシャッターもありません。ですから、外部ストロボを使うには、たぶんこの方法以外に手段は無いと思います。

また、外部ストロボを使う意義とは、光量の問題だけではなく、
ストロボをカメラから離して(オフカメラと言います)使える事です。

この記事では、バウンス撮影を例に、 RX100M3での出品写真的なものが、どの程度行けるのか?を、外部ストロボを使った場合、そうでない場合との違いなどで比べてみました。


ストロボは高くない


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例えば、これはたぶん汎用クリップオンでは一番安いと思われる、 AmazonBasicsのストロボですが、こういうものでも、まずは充分です。激安クリップオンのベストセラーとも言える、Neewer TT560のOEMに間違いないですが、2000円代で買えます。何万もする純正ストロボを手に入れるような気合は必要ありません。

このストロボはシンプル過ぎで、当然オート(TTL)非対応、ズーム機能もありませんが、首振りは全方向可能、手動で光量調整可能と、要点は抑えており、光量的にもこの手のストロボとしては充分ですので、特定のカメラとデザインを一体化したような小型ストロボより、余程使い物になります。

ストロボの前面に受光部があるので、そこに内蔵ストロボの光が届けばいいという事です。

光学スレーブを使う場合、通常はMODEが2つあり、このストロボでは、S1かS2です。コンデジなどの内蔵ストロボに同調させる場合は、S2に設定します。これは、カメラ側の1回目の発光(プリ発光)に反応させるのか、2回目の発光(本発光)に反応させるのかの違いで、他のストロボでも概ねそんな仕様です。カメラのストロボは、マニュアル発光にしない限り、実際は2回光っています。RX100の内蔵ストロボは、TTLオート固定ですので、本発光に合わせるよう、S2が正しいという事です。

非力な内蔵ストロボが重宝する、光学スレーブ撮影

この方法であれば、内蔵ストロボさえあれば、
どんなコンデジでも、ストロボをオフカメラで使える事にはなるのですが、

内蔵ストロボの光を被写体に直射せずに、外部ストロボを光らせる。

ここが肝です。


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こういう角度固定のストロボでは、被写体を直射してしまうので、 外部ストロボを使う意味がそもそも無くなります。光がストロボに届きさえすれば、極端にデフューズするとか、ストロボに細工するなどの方法もあるとは思いますが、コンデジの撮影にそこまでこだわらなくても、RX100のような、バウンス可能な内蔵ストロボなら、指でストロボを上に向けるだけで良いわけです。
因みにこのカメラ、この記事の編集中に有名な持病が発症、ご臨終となりました。

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ストロボは、このように被写体から離して置くだけでも良いですし、スタンドにセットするなど、置く位置はいくらでも考えられます。

更に、内蔵ストロボは非力なため、これがある意味重宝します。撮影上は、内蔵ストロボの光りなど不要なので、被写体にできるだけ影響する事なく、外部ストロボを光らせる程度に光ってくれるのが理想なのです。

RX100の内蔵バウンスでも、なんとなく綺麗に撮れる事もありますが、周りに反射するものがあるとか、狭い場所であるとか、状況にかなり制約があると思います。基本・・ストロボなしの環境光だけでもそこそこ撮れる状態・・での補助光的存在です。外部ストロボでは、その逆・・環境光の影響を除外しての撮影が可能になります。 

では、見ていきましょう。

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まずは、室内灯のみで撮影。
開放ですが、ストロボ発光前提でこれ位の暗さにしています。

WBはオートですが、カメラの色再現的には、的確なAWBだと思います。
画角は、望遠端(換算70mm)。
ピントはレンズ鏡筒の「SONY」に合わせ、距離は40cm位です。
画像は、そこから若干トリミングしてます。

レンズ先端、レンズ横、シャッターボタンは、開放でも深度に収まっていますね。
必要な被写界深度を浅くするために、こういうアングルで撮っていますが、ボディ前面の「SONY」の中途半端なボケが気になりますので、もう少し深度が欲しい所です。

また、光の当たり方が、トップと正面とで二極化しており、影もきついです。
イメージとしては、こういう見せ方もあるかもしれませんが、出品用としては、見難いだけで、イタいと思いますし、個体の状態などまるでわかりません。

 
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内蔵ストロボで天井バウンス(光量補正0) 

明るさは殆ど変わりませんが、地灯りのみよりは、軟らかくなり、影も弱くなりました。
シャドウが持ち上がり、やや見易くなっていますが、見難さの根源である、光のムラは変わりません。

ここで改善したいのは、光のムラとなる室内灯の影響を排除するのと、ボディまでピントが合うように被写界深度を稼ぐ事です。そのためにISOは据え置き、一旦、F11まで絞ります。

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ストロボ非発光では、ここまで暗くなります。

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内蔵ストロボでバウンス。

反射物が天井だけの場合、内蔵バウンスの効果は、この程度です。
ただ、外部ストロボを使う時は、内蔵ストロボ光の影響は欲しくないので、これが幸いします。

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外部ストロボで天井バウンス 

光のムラが軽減され、影も目立たなくなり、ピントも奥まで合って、全体にだいぶ見易くなりました。
光の質自体もバウンスによって柔らかいものになっています。

ストロボ発光量は、1/2です。バウンスの場合、直射よりは光のロスがある上、我が家の天井は茶色なので、それくらいの光量が必要になります。

気になるのは、ISO1600の為ノイズが多く、質感を損ねている点です。特に、レンズトップ部の金属感にそれが出ており、ザラザラと粗さがありますね。

そこで、今度は、ISOを下げながら、被写界深度との接点を探していきます。
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ISO800+F8

深度的には、まだ余裕があるようなので、ISO1600よりは、こちらで撮るべきですね。
ただ、ノイズ感はまだ気になる程度に残っています。

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ISO400+F5.6

この辺から、金属の質感が滑らかになってきます。ISO800よりだいぶマシです。
深度的には、後方の「α」がはっきりボケになっていますが、位置的に問題ないと思われますので、ISO800よりは、こちらで撮るべきですね。

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ISO200+F4

800や1600に比べると、ハッキリと綺麗になっています。深度は、ボディの「SONY」が怪しくなりかけてますので、見易さでF5.6か、質感でF4か、の選択になりそうです。
まぁ距離を開けるとかして、深度を稼げますけど、その分、トリミング率との相殺ではあります。

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ISO100+開放

100だとさすがに質感は問題なしですが、ピント面では、やはり見難くなってしまい、中途半端な印象です。解像感の点でも、F4の方がいいです。

以上、ISOは最低400をキープし、アングルを工夫して、F4かF5.6で収まるような被写界深度を設定するのが、良さそうに思います。
ここでは、ストロボ1灯によるバウンスでの例なので、そう結論付けていますが、ストロボ側で光量を増やす使い方をすれば、もっと絞っても綺麗に撮ることは出来ると思います。

このレンズ、望遠端は甘いと思っていましたけど、F4にするだけでかなり良くなりますね。


ここでは、シャッターを弄っていませんが、絞って深度を出すだけなら、外部ストロボを使わずとも、低速シャッターにして露出を合わせればいい事です。ただ、バウンス効果という点では、逆効果になってしまいます。
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左が、絞りF11、シャッタースピード1/4秒で、ストロボなしで撮影したもの。
右が、同じ露出で、内蔵ストロボを天井バウンスさせたものです。

全くと言っていいほど、違い(効果)がありません。
シャッタースピードを長く取ることによって、環境光の影響の方が遥かに大きくなってしまうためです。室内等の影響を除去したいわけなので、シャッターは速いに越した事はなく、遅くするのは、目的と逆方向になってしまいます。

簡単に、アングルが異なる別の例をひとつ。
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ストロボ非発光、開放。
正面からですが、距離を空けたので被写界深度的にはまずまずですね。

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内蔵ストロボでバウンス、開放。

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外部ストロボでバウンス、F11。
ここまで絞らず、感度を上げた方が良かったと思いますが、条件をなるべく同じにしています。

光の回り方、深度の両面から、外部ストロボが使えるメリットは大きいと思います。
RX100のM2や、かつての高級コンデジが、無理してでもホットシューを付けている意味は、それなりにあったわけですね。


内蔵ストロボだけで光を周す


・部屋の隅で撮る。
壁など、周りに反射するものがあると、内蔵バウンスだけでも、明るさの面では、そこそこの効果を期待できます。
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左がストロボ非発光。右が内蔵ストロボでバウンス。

部屋の隅で、レンズの背後と、前方が直ぐ壁になっている場所です。
ここだと、ストロボ自体は天井に向けていますが、同時に壁にも反射するので、かなり光が回っています。ただ、元の露出を極端に暗くは出来ないので、室内灯の影響は必ず残ります。

・簡易撮影ブース
Amazonなどで売ってる、出品撮影用のミニブースを使うと、狭い空間である分、十分に光は周せます。が、40cm四方程の中に、カメラを突っ込んで撮る事になるため、現実的には、余程の小物でないと難しいと思います。
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左は、非発光ですが、編集で2段明るさを上げており、実際はもっと暗いです。
その状態でも、内蔵バウンスだけで、右のように、光が周りきります。
ただ、距離的に広角でないとフレームに収める事もできず、更にはご覧のように、極端にデフォルメされ、フザケた写真にしか見られません。

光学スレーブの利点


・互換性を気にしなくて済みます。
光学スレーブに対応し、光量をマニュアル設定できるストロボであれば、メーカー問わず何でも使えます。逆に特定のカメラに特化したような、オートのみのストロボは使えません。 

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画像左は、以前のソニーのホットシュー・・と言っても、2012年頃の機種まではこのタイプです。
オートロックシューという、ミノルタ時代からの、独自の形状のシューで、その名の通り、脱着は非常にスムースですが、汎用的なストロボはもちろん、現在のソニーのマルチインターフェースシュー(右側)とも互換がなく、機器の装着自体ができません。

現行型のシューは、形状自体は汎用シューと同じなので、他社ストロボでも装着は可能ですし、接点の位置が合えば、発光自体は可能です。

こういう状況でも、光学スレーブであれば、一眼の(例えばα55の)内蔵ストロボによって、キヤノンのストロボを発光させるという事が可能です。

・トランスミッター不要
ストロボをリモート発行するには、無線で電気信号を送る、トランスミッターとかラジオスレーブとか言われる機器が必要ですし、ストロボ側にもそのレシーバー機能が必要になります。
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これは、中華ブランドのソニー用トランスミッターです。今日では、こうした中華ブランド製品がとても安く買え、品質も問題無いと思いますが、とりあえずは、そうした機器がなくても、リモート発光可能な方法です。


光学スレーブの難点(制約)


・光だけの機能
光学スレーブでは、 電気的な信号は一切送受信されないので、TTLなどカメラからの調光はできません。 単純に光らせるだけです。調光などは、ストロボ側でマニュアル設定する事になりますが、そこは難しい事など特になく、オートの仕様を頭に入れる方が余程難しいと思います。

本来は、電気的な問題が発生した時や、互換のない機器同士で多灯発光など、緊急避難的な機能であって、ホットシューのあるカメラであれば、トランスミッターなどを介して、所謂リモートコントロールをするのが普通です。
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NEXにはホットシューがありませんが、画像のようなアダプタを介して、トランスミッター(右側)を使う事が出来ます。RX100のようなコンデジではそれすら出来ないので、正に緊急避難というわけです。 

・光が届く範囲でしか使えない
一番の難点ですね。特にコンデジを発光トリガにする場合は、野外での利用は難しいです。カメラ側のバウンス光が届けば問題ありませんが、野外でそういう環境を作るのは、結構大変だと思いますし、そこまでしてRX100にこだわらなくていいと思います(笑)。 室内であっても、ベストなストロボのポジションとカメラのバウンス光の方向がマッチするとは限らず、妥協がつきものです。

・余計な発光トリガが必要
今回のように、光学スレーブのみで外部発光させる場合、そのトリガとなるための内蔵ストロボの発光が必要です。これは、本来は無くてもいい光ですが、避けようがありません。


LEDとストロボ


ライティングについては、種類が豊富になってきたLED使うという手もあります。
色温度の調整可能なLEDも当たり前にあり、RXも動画重視の方の割合が増えてるでしょうから、最近では、LEDの方がウェイトが高いかもしれません。

私は、LED照明は持っていませんが、ヤフオクの出品などは、スマホと蛍光灯ライトボックスで済ませていた時もありました。
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最初から被写界深度が深い事もあり、それでも充分と言えば充分です。

ただ、スマホでは広角レンズのため、寄るとどうしても被写体が歪曲してしまって、カメラなどには厳しいなと思いました。

光源はどちらでもいいと思いますが、瞬間光のストロボにしか出来ない撮影というのもあります。それこそ、手軽にバウンス光を作るのは、LEDでは難しいですし、外部ストロボはやはり使えた方がいいと思います。カメラとしての機能性が増したM3なので、余計にそう感じてしまいますね。