なぜレンズを変えたのか?
RX100シリーズは、今日までに2度レンズを変えています。
このうち、MK6の28-200mm・・高倍率化は、
如何にもメーカーの考えそうな事で、
シリーズのバリエーションと考えてもいいと思いますが、
MK3で、24-70mmになったのはなぜでしょうか?
F値が明るくなる事を喜ぶのは、既存のカメラ好きだけで、
殆どの人は、F値がいくつであろうが、望遠側が長い事を好みます。
「撮れる」事は、画質より優先されますから、
それはそれでアリだと思います。
MK3では自撮り液晶搭載によって、
広角端を広げる必然性があった。
代償として、100mm維持が難しくなった・・と考えるのも自然ですが、
実際に比べてみた所感としては、
単純にレンズ性能を見直す必要があったのではないでしょうか?
望遠側は殆ど同じですが、
広角側の描写力は確実に上がっており、
ZEISSのラベルに恥じない作りになっていると思います。
周辺画質が全然違う
今比べてみると、MK3の画像では、
被写界深度内と思える範囲は、画面全体でシャープに結像していますが、
初代の画像では、
ピントが出ている箇所、ブレたように見える箇所など、
ムラがあります。
10mm程度の実焦点距離距離で、近接でもない距離で、
それ程深度がシビアとも思えませんし、
要は、画面中央以外の画質が、あまり良くないのだと思われます。
2つの例を紹介します。
撮影条件は前回と同じで、
露出はマニュアルで同じ設定。
WBはオート。
AFはフレキシブルスポットのみ。
RAW撮って出しです。
最初の画像では、
画面右側手前の緑にピントを合わせています。
どちらも、広角端で半段絞っている。
という条件です。
なぜそんな変な位置にピントを合わせるか?
と言いますと、
スポット枠がきっちり収まり、後抜けなどしようがないと思うからです。
一見、色合いの違い程度に見えますが、
ピントの部分をチェックしてみると、初代(左側)、MK3(右側)で、
かなり違います。
等倍ですし、単体で見れば、こんなものだろうと思いがちですが、
両者でここまで解像に差はありません。
例によって、初代はピンボケでしょうか?
では、そのピントはというと、
真ん中の鴨に合ってるようです。
MK3(右側)でも、同様に鴨にピントが来ています。
実焦点距離が10mm程度ですから、
被写界深度内と考えれば、緑も鴨も、同じ程度に解像していい筈です。
が、初代の方だけ、二点の解像に差があり過ぎです。
ただ、フォーカスした緑は、画面の端でした。
そこで、画面中央以外の、他の箇所を比べると・・
手前の岩、
右側の枝
MK3の方は、どの位置でも鮮明なのに対し、
初代では、解像にかなりムラがありますね。
これはさすがに、ピントの問題ではないと思います。
画角が広い、MK3の方が有利とは言えますが、
8.8mmと10mmで、ここまで違いますか?
ただ、等倍でここまで写っていれば、
初代の性能が悪いというより、
MK3が、相当に良くなっている。。
という事ではないでしょうか?
次は画角を同じにしています。
つまり、初代の方が半段有利な条件です。
ピントは、画面中央の梅の花です。
狙った位置に来ています。
ご覧のように、解像にそれ程違いはありません。
発色の豊かさは、
同じセンサーサイズと思えない程、
初代の圧勝に見えますね。
色合いの違いで、そう見えるのですが、
RAWには、その先があります。
で、中央以外をチェックしてみると・・
画面左側、
画面右側
画面下部
よく、RX100を持ち上げて、
「下手な一眼レンズよりよく写る」などと賛美されますが、
下手な一眼キットレンズの方がマシではないか?
という位のあり様です。
さすがにここまで来ると、
私の個体の問題?
あるいは、手ブレ補正の効きの違い?
(1/640秒ですけど)
とも、半ば思っています。
でなければ、メーカーが再設計しようとしたのも頷けます。
広角側の解像が良くなっている
ピントが出ている箇所で比べれば、解像度に両者大きな違いはない・・とは言え、
等倍レベルでは、殆どの場合において、
MK3の方が、鮮明度が高い画像になっています。
中景
画角は同じ。
鴨さんの居る岩にピントを置いています。
ピントは、初代も外してはいないと思いますが、
鮮明度が、僅差とはいえ、ハッキリ違います。
ただ、等倍でこの程度の違いです。
遠景
さすがにピントを外しようがないパターンです。
違いがあれば、レンズかセンサーの違いではないでしょうか?
ピントは、遠く目の前の樹です。
初代(左)も、遠景だからと言って、
ボケボケだったりはしませんね。
幹の表面の凹凸などもしっかり描いてはいます。
MK3(右)は、鮮明度が一皮高くなっています。
裏面センサーが低感度で不利?
・・全く感じません。
近景
ここでは、手前の緑に合わせてますが、
初代も充分ピントは来てるようです。 ディテールはMK3(右)の方が良く出ていますね。
これは、レンズの違いではないでしょうか?
が、望遠側に行くとその差も殆どなくなってきます。
次は50ミリでの比較。
暗所になるので、初代には不利と予想しつつ、
拡大してみると、 これだと殆ど同じですね。
この傾向は、50ミリ〜70ミリで共通していました。
MK3で描写力が上がったのは、広角側限定でしょうか。
おまけ
・逆光耐性
良くなってるようですね。
内面反射対策とかでしょうか?
初代も、逆光で必ずゴーストが出るわけではありません。
ただ、MK3は、太陽を入れても、ほぼゴーストが出ません。
・開放(F1.8)勝負
比較のつもりではなかったので、
露出も、アングルも違ってしまってますが、
初代の特徴?が、見られる例です。
MK3の発色はここでも素っ気無く見えますね。
ISOは半段の違いですが、ノイズが多いのは、MK3の方です。
初代の開放では、球面収差でしょうか?
「SONY」の部分のような滲みがよく出ます。
ピントは、ZEISSに合わせていますが、例によって怪しいです。
MK3では、滲みは全く出ませんね。
良くなってるようですね。
内面反射対策とかでしょうか?
初代も、逆光で必ずゴーストが出るわけではありません。
ただ、MK3は、太陽を入れても、ほぼゴーストが出ません。
・開放(F1.8)勝負
比較のつもりではなかったので、
露出も、アングルも違ってしまってますが、
初代の特徴?が、見られる例です。
MK3の発色はここでも素っ気無く見えますね。
ISOは半段の違いですが、ノイズが多いのは、MK3の方です。
初代の開放では、球面収差でしょうか?
「SONY」の部分のような滲みがよく出ます。
ピントは、ZEISSに合わせていますが、例によって怪しいです。
MK3では、滲みは全く出ませんね。
以上、様々な理由に起因して、
初代の画像は乱れがちな傾向があります。
特に周辺画質については、
私の個体の問題でなければ、
ZEISSのラベルを剥奪すべき!レベルです。
私も、ここまでとは思っていなかったので、
過去の画像をチェックしてみたのですが、
初代の周辺の乱れは、絞ってもあまり変わらないようでした。
ただ画面下のボヤけ感は、ここまでのものは見られず、
私が使用中に狂いを生じさせた可能性大です。
まぁコンデジのレンズと思えばこんなものかもしれませんし、
デビュー時のRX100は、実験的な存在と言いますか、
初代の予算は、相当限られていたと想像します。
ただ、想定外にRX100が好評で、
コンデジ界を塗り替える程の存在になってしまったため、
メーカーも、焦ってレンズを見直したのではないでしょうか?
MK3での周辺画質の優秀ぶりには、そんな過程を感じさせます。
コンデジで最もアピール力の薄い、レンズをこの時期に見直し、
望遠側を切る!という英断に出たRXチームに拍手を送りたくなります。
SONYもきっと、このレンズには自信があるのでしょうね。
M6の後も、M5Aを発売しているのが何よりの証です。
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