これまでミノルタのマクロレンズを絶賛し続けて参りましたが、今もし旅行に1本!と言われれば、たぶん50mmマクロよりこちらを選ぶと思います。理由は、おもしろいからです。
50マクロが気に入り、何かミノルタで明るいレンズをと物色しながら、とりあえず一番買いやすいものを選びましたが、本格的な大口径の楽しさを安価で味わえる素晴らしいレンズです。
APSCで使うとほぼ85mm相当となる点も、使いやすさのポイントですね。

今回はまず私がこのレンズの魅力だと思った要因を幾つかピックアップしてみたいと思います。

・猫や花に合う、開放付近のやわらかな質感

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昔の国産レンズはコントラストより解像度指向だったそうで、その意味ではオールドレンズらしい写りですね。アダプタに電子接点はなく、レンズのEXIFは残りませんので、撮影データはご覧の通りです。いちいち絞りなども覚えてませんが、家では開放かF2しか使いません。これはF2です。


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どちらも開放です。点光源の出方やフォーカスの滲みで判りますが、ふんわりとしかもしっかり猫を描けるレンズですね・・
開放ははっきり言ってソフトフォーカスで、NEXのピント拡大をもってしても滲みで芯がわかりづらく、F2でかなり改善されます。また、描写を比べれば当然50mmマクロの方が上ですが、この辺りのふんわり感も猫写には無くてはならないものと個人的には思います。


・ボケと発色の素直さ(白の発色が綺麗)

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上はF2、花は開放ですね。私が80年代のライカレンズをとてもいいと感じていた点が、白の綺麗さだったのですが、このレンズも白の出方に濁りがなく綺麗で、その柔らかい質感ともうまく合っていると思います。開放では点光源に必ず縁どりができますが、一段絞れば収まります。縁どり全然結構だとは思いますが。


・開放のドリーミーな点光源ボケ(収差)

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このレンズの醍醐味になりますね。こう言う縁どりがハッキリ出るのは軸上色収差の影響でしたっけ?実際、色収差はあるようで、状況によってパープルフリンジも派手に出ますが、主要被写体を侵すような出方はしないのでよろしいのではないでしょうか?何より50mmの開放に多いグルグルボケが出ません。これはかなり積極的に開放を使えるポイントになりますね。
また、これだけ離れてもボケで楽しめるというのはマクロレンズでは不可能な芸当です。


・光を使えばそれなりに応える透明感

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旧いレンズですから、強い光、強いコントラストの場面ではフレアが出ます。フード必須になりますが、逆光などを適度に使ってメリハリをもたせたものはそれなりに再現してくれますし、そういう場面であれば現代レンズに負けない透明感も演出できるように思います。
F4かF2.8位だと思いますが、望遠レンズのような落ち着いたボケですね。


・アウトフォーカス部の美しさ。

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ここはかなりポイント高いのですが、フォーカスから微妙に外れていく部分のボケ方が秀逸です。グルグルボケをするレンズでこういうの撮ると結構悲惨になりますが、実にうまく収まっていないでしょうか?

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ただのピンぼけですが、これだけでも絵になるような美しい滲み(笑)。これもグルグルがあると煩いだけになります。ただ手前の緑は二線ボケ気味ですし、色収差も目立つ気がしますね。ここは価格を考えて目を瞑るしかありません。


・日常的に使えるコンパクトサイズ

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NEX3に装着でこの位の大きさ。私的には通勤で携行できる限界の大きさです。たぶん一般的な50mmF1.8クラスの大きさだと思います。50マクロも単体ではコンパクトですがNEXにはアダプタ経由になるため、これより更に長くなります。
左にあるのは、折りたたみ式のラバーフード。めんどくさいですが、オールドレンズには無くてはならないものですね。


最後にこのレンズの良く使う絞りでの比較です。
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開放の特徴が最もわかりやすく出るのは点光源ですが、こんなわずかな例でも縁どりが筋の様に出るのが判ります。また背景は見事に溶けますが、100mmマクロのような絵の具っぽい感じにならないのは素敵だと思います。


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F2にすると花のシャープさも一段違ってきますし、点光源ボケにも縁どりが出ません。また背景全体、モヤっとしたボケから落ち着きが出るので、全体的な立体感もアップ。特に理由がなければ、通常はF2で撮っておけば間違いない。という事になります。実は最短でこの程度までしか寄れないのですが、このボケがあれば、表現上それ程不便とも思えません。

また、絞ればカリカリかと言うと、それ程でもなく普通の写りだと思うので、やはり開放付近を積極的に楽しむレンズではないでしょうか?

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更にF4まで絞ると被写体がかなりハッキリと描かれます。ボケも素直ですが絞りの形も出てきますし、叙情性はスポイルされますので、野外で使う場合、私は、通常F4、勝負のときにF2以上という、大口径としては至って正当的な使い方をしています。その普通の使い方で充分楽しめるレンズです。

このレンズは、ミノルタのマニュアル一眼レフ時代のキットレンズですので、巷に溢れており、ミノルタのF1.4のレンズ中最も安価に購入出来ます。状態にもよりますが、オクで2000〜4000円程度でしょうか。
しかしながら実使用ではキットという安っぽい適当なイメージの写りではなく、本格的な大口径レンズの楽しみを味わえる、大変素敵なレンズだと思います。

58mmという焦点距離は、一眼レフ黎明期の標準レンズで、要は50mmよりも設計、製造にムリのない、つまり性能を出しやすい画角なのではないでしょうか?今回特にボケの素直さを見てそう思いました。50mmとの違いは画角よりむしろそちらに感じるものがあります。
技術の進歩でやがて50mmでも大口径が出てくるようになりますが、その後も高性能を追求したレンズは55mmであったりしますよね。
長い方が大きくボケる訳だし、50mmという画角に拘らなくと良いと思いますが「ライカに合わせる」という事は、当時絶対的な価値観だったのでしょうか?