【フォトキナ】インタビュー:「フルサイズトリオ」を発表したソニーの意図とは - デジカメWatch

フォトキナ一色のカメラ界ですが、DC Watchに、ソニーのフルサイズ戦略に関する、
勝本氏(以前からカメラ部門の顔になってた人ですね)へのインタビューが出ています。
聞き手の方が、最初からとても的を得たというか、コアな質問をされていますね。
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α900というカメラは、そのファインダーの見え味や同時期に用意されたレンズ群など、魅力的なハイエンドカメラになっていましたが、勝本さんも言っていたように、伝統的なカメラ文化に対し、ソニーがきちんとその世界にコミットしたのだ、という証のような製品でしたよね。しかし、α99はガラリと変わってトランスルーセントテクノロジ採用。ミドルクラスまでならともかく、ハイエンドもとなると、やや抵抗感を感じる既存ユーザーはいるのでは?

これに対して、勝本氏からストレートな回答は出せていません。
敢えてそれっぽいの思えるのは、

フルサイズセンサーでトランスルーセントテクノロジを採用するとなると、処理能力などの問題以上に、光学的な面でハードルはたくさんありましたが、それを越えることで動画撮影中のオートフォーカスや、ビューファインダーの映像をブラックアウトさせずに連写するといった、新しい機能性を備えることができます。もちろん、光学ファインダーが好きだ、という人は根強くいらっしゃるのですが、一方でα55、α77とやってきて、“撮影される画”をファインダー内でで見ながら作品作りができる点を気に入ってくださっている方もたくさんいらっしゃいます

だから、ハイエンドって訊いてるんだけど?

うちがフルサイズに新機種を開発するならば、そうした独自性、新たな価値を追求する方向へとシンプルに突き進むのがいいと判断しました

シンプルに55以前のユーザは無視ですか?

この後、動画撮影中のAFや、デュアルAFシステム等TLMの恩恵を挙げている事に対し、

ということは、α900の後継機種は予定がないということでしょうか?


現時点で後継機種開発の予定はありません。トランスルーセントテクノロジで得られる、カメラとしてのパフォーマンスが圧倒的なので、ここから光学ファインダーに戻るのではなく、トランスルーセントテクノロジを磨き込む方向に行く方が有益だと考えているからです

ここで更に突っ込みが入ります。

トランスルーセントテクノロジは、EVFが持つ将来への可能性と、一眼レフカメラが持つ速射性や応答性の高さといったものが結合しているとは思いますが、一方で万能ではないとも感じるのですが、”圧倒的”とするトランスルーセントのパフォーマンス、魅力はどこにあるとお考えですか?

これに対する回答があまりにお粗末なんですが・・

前述したように、ファインダー内で見ている画像と、実際に撮られる画像が同じ、というの点が光学ファインダーとは全く異なる点です。・・中略・・色の調整や露出調整がそのまま反映されるとうのは、トランスルーセントが達成しているもっとも素晴らしい利点です

更に追加で、動画撮影中AFの利点、現時点でOVFの感触には至らないと認めつつ、今後ブラッシュアップが出来ると強調されています。

あのなー・・

撮影前の色の調整とは、具体的にWBの事だと思いますが、
WBや露出が前もってわかるなどという事は、圧倒的なメリットでも何でもないですよ。
そんなのは、精度の差こそあれ、コンデジの液晶で出来ている事であって、
一眼レフの顔とも言うべき、ファインダーの中に突っ込むようなものではない。

たしかに日中野外では液晶は見難い事もあるから、あれば便利は便利だが、
900のOVFとトレードオフ出来るような機能なのか?という所が問題なのです。
・・EOSのOVFならともかくです。

何よりそういうのって基本JPEGの問題であって、
RAW撮影を前提としていない見解ですよね。
フルサイズを使おうと言うユーザなら、露出やWBなど経験則でわかるし、
RAWの範囲で大きくズレる事など普通はないでしょう。
何より、RAW撮影というのは、デジタルの一番骨格となる部分であって、
フィルムに対する重要なアドバンテージでもある訳です。
ソフトが弄りまくっているJPEGでどれだけ正確、綺麗か?
などというのは、エントリクラスやコンデジの問題じゃないですか。

更に言うなら、情報が豊富というのは、
シャッターチャンスを逆に逃すという事にも繋がる訳ですよ。
RAWでとりあえず撮っちゃえば後でどうにでもなるものを、
EVFの画像にイマイチ露出のズレを感じたために調整してるうちに、
被写体の状況が変っちゃったとかね・・(猫に限らずです)
これは、RFの方がSLRよりシャッターチャンスに強いと言われた理由と同じ理屈です。
写真撮ってれば、そういう事は解る筈なんですけどね。

また、冒頭の「一眼レフを新しいフェーズへ・・」というのは、
一度出したものはそれで完結であり、「熟成させる」という発想のなさを物語っています。
カメラは芸術作品ではなく、道具なんですけどね・・
まぁ「売れなかったので・・」とは、言えないでしょうからそういう表現なんだろうけど、
「どうして売れないか?」だけではなく、
「買った人はどうして買ったのか?」のアプローチも必要じゃないでしょうか。

900を購入した人の7割はおそらくファインダーで入っているでしょう。
そして99の主要マーケットは、まずそこであるという事がわかってるのか?
具体的に誰に売ろうとしているのか?

総じてこのやり取りから伺えるのは、

・エントリ向けのマーケティング論理をフルサイズにそのまま持ちこんでいる。
・99のコンセプトははっきりと、動画>スチルである。


数日前、SARに紹介されていた別のインタビューでは、
99が36MPを採用しなかった理由として、

「動画で60pを達成するのが現段階では困難だから・・」

というのがありました。
本来、高画素路線を突き進む筈のαが、このような理由で36MPを見送るというのは、
スチルの仕様が動画の制限を受けている・・という事に他なりませんよね。

という事で、ソニーの方向性を正に体現しているものですね。
私は、99そのものよりも、この体質の方に嫌気を感じますから、
ツァイス主体に考えれば、ニコン+コシナに移行したくなるのが当然でしょうね。
EVF(将来を含めた):OVFの問題ではないんです。
たしかに900のOVFは逸品だと思いますが、ファインダーはあくまで確認窓と
割り切ってはいますよ。
写真は頭で撮るものですから、機能面が満たされてさえいれば、情緒に固執はしません。
勿論、900のファインダーは情緒のみでなく、機能的に素晴らしいです。
レンズによるかもしれませんがMFでのピントの歩留まりはとても高いですね。


しかしです。

ここまで極端に動画偏重カメラを打ち出しているのを見ると、
考えようによっては、そのうち「スチル専用機」というのが出てくるんじゃないか?
とも想像できる訳です。
そこは、ソニーのサプライズ性に唯一期待する所ですね。
昔に戻るとかそういう事ではなくて、RX1のように、
ある点だけを職人的に磨き上げたようなコンセプトというものに、
ソニーが興味を持ちそうだと思う部分があるからですが。

それは、あくまでもユーザビリティから来るものではなく、
ソニーの好奇心に期待するだけ
というのが、頭の痛い所ではあります。
私はMではないので(笑)、それがソニーの面白さなどとは全く思っていません。
ましてソニーを信じてなどいませんので、「諦めない」とか「ソニーはやってくれる」
とか心情的な所から来るものではなく、あくまで状況的には、
まだ900の後継が出る可能性がゼロではない。と勝手に推測しています。

いずれにせよ、ソニーの既存ユーザ(信者を除く)は大変です(苦笑)。