さて、ここで問題です。

50ミリと28ミリでは、遠近感の表現に違いはあるでしょうか?

「そんなの違うに決まってるだろ!おまえ本当はコンデジしか持ってないんじゃないのか?」

という答えが返って来そうですが・・
デジタル一色の時代、色んなフォーマットが乱立し、コンデジまでがレンズ交換を始め、
更に新フォーマット誕生か?などと渦巻く中、レンズの方はそれ程多彩でもなく、
「換算何mm」という表現が、カメラ初心者までを巻き込むおかしな時代。
当たり前の事が、どこかに吹っ飛んでるという事はありがちです。
いやむしろ、こういう時代だからこそ、それを発見出来るという見方もできます。
まぁ、そんな常識の整理をするつもりで読んでみて下さい。

因みに上の回答は、NOでもあり、YESでもあります。

焦点距離に固有の遠近感など存在しません。
遠近感を制御するのは、画角ではありません。

当たり前で今更感のある話ですが、とりあえずNOが気に入らない人は、
やはり読んでみて下さい。

50mmの奥行きが好きだ。。それは、50mmでしか出ないものだ。。
そう思ってた私みたいな人も同様です。

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( α700 SAL35F18 f2.8 ISO200 )

話はちょっと戻り、APSCで換算52mmになる、SONY DT35mmF1.8ですが、

「フルサイズあるんなら、何で普通の50mm買わないの?」

という事になります。
・・それは勿論考えたんですが、そちらになると、価格も50mmF1.4らしく3万円台・・
その割に余りに造りが安っぽくて、買う気にならないんですよね。。
純正が、シグマやタムロンより安っぽいって、何とかならんですか?

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( α700 SAL35F18 f2 ISO200 )

ただ、最初にこれら見てふと思ったのは、なんか標準の奥行きに感じない・・
猫自体も、50ミリというよりは、あくまで準広角の35ミリで固めた印象?

「そりゃ、焦点距離はあくまで35ミリなんだから当然だよ・・」

って、言われそうですが、
(そう言う人は私と同じくらい重症です、根本的に認識を見直す必要があります)

焦点距離は同じでも、イメージサークル次第で奥行きも変るんじゃないのか?
だから、専用設計なんでしょ?

でなければ、コンデジは全て魚眼のトリミングで、
フルサイズの50ミリだって、中判用広角のトリミングって話ですよね。

そうじゃない・・
標準は、何ミリでも標準。広角は広角だ!設計次第なんだ!
と、私は認識してましたが。。

そこで検証・・
先ずは、APSC専用レンズのSAL35F18と、フルサイズ用標準ズームの35ミリ地点で、
同じα700を使って撮ってみた。

DSC01627
(α700 SAL35F18 f1.8 ISO320 )

DSC01625
(α700 SIGMA 2470 EXDG 35mm f2.8 ISO800 )

同じじゃん。。
(ホラネ、重症なのはおまえだけだよ・・と喜ぶ前に先を読みましょう。)

広角として設計されてるフルサイズ用と、標準として設計されてるAPSC用で、
奥行きが変らないのは何故だ?

これって、焦点距離と奥行きの関係は、絶対的なものって事なのか?

DSC01945
(α700 SAL35F18 f1.8 ISO800 )

DSC01941
(α700 SIGMA 2470 EXDG 35mm f2.8 ISO1600 )

しかし、疑問は割と簡単に氷解した・・
SAL35F18をα900に付けてみれば、判る。。
実は、このレンズのイメージサークルも・・35ミリをほぼカバーしているのだった!

ほぼというのは、四隅に微妙にケラレが出ているので、
ギリギリ35ミリ枠という事になるからだけど、
少なくとも光束をAPSC枠に結集させた光学系ではなく、
フルサイズ並みのイメージサークルから、トリミングをしてる訳だ。

だから両方同じイメージサークルである・・とは限らない。
シグマの方は、実はもっと大きなイメージサークルを持っていて、
やはりそこからトリミングしてるかもしれないからだ。
何というか、

焦点距離内の光の角度が同一でない限り、サークル径は同じにならない。

と考えて自然じゃなかろうか??
実際、APSC用のズームは、イメージサークルが小さいのは、テレ側だけで、
ズーミングでフルサイズ並に広がっていくパターンが多い。
フルサイズのズームでもあり得ない事ではない。
ライカRのレンズには、中判のイメージサークルを持つものもある。

正直に作れば、周辺の光軸も、より角度がつかなくなる訳だし、
画質ももっと上がると思うのだが?、まぁ素人考えではね。。
既に確立されている。35ミリ用の設計から、真ん中だけ持ってくる方が、
手っ取り早いという事か・・

て言うか、APSC専用の広角が皆無に近いのもこの辺かな・・という気がする。
要は、既存のフルサイズからのお下がりが流用出来ないって事じゃないのか?
・・どうして真面目に作ろうとしないんだ。。

DSC01946
(α700 SAL35F18 f2.8 ISO640 )

DSC01949
(α700 SIGMA 2470 EXDG 35mm f2.8 ISO800 )

でもこれって、フルサイズの35mmF1.8が同時に手に入ったって事じゃん♪

と、一瞬喜ぶのだが、
α900では、APSCレンズは強制的にクロップがかかってしまうので、
撮影結果は、あくまでAPSCなのだ。
APSCモードのON/OFFは、切替が可能だが、
ONというのは、どんなレンズでもAPSCにクロップするという意味で、
OFFでその機能を完全解除という意味ではない。

因みに社外のレンズなら、それ用の電気接点がなく、
フルサイズでの撮影も可能になるようです。
(シグマの30mmF1.4とか、いいかも?)

ここまではとりあえず納得した。しかし・・更なる検証で余計わからなくなった。

今まで見たのは、どちらも所謂35mm付近のトリミングだ。

では、本来の50mmと比べたらどうなのか?

フルサイズのα900に、ズーム50mmの状態と比較してみる・・

DSC01723
(?)

DSC07924
(?)

これ、どちらがどっちだか、解りますか?
ほとんど同じですよね。。
もちろん同じ距離から、撮っています。

上が、α700 SAL35F18 f3.5 ISO200 。
下が、α900 SIGMA 2470 EXDG 50mm f3.5 ISO200。

自分の思い込みでは、50mmの方がもっと背景が立つ筈だったのだが。。

他にもいくつか比較検証してみた。

DSC01741
(α700 SAL35F18 f2.8 ISO1000 )

DSC07945
(α900 SIGMA 2470 EXDG 50mm f2.8 ISO800 )

DSC01721
(α700 SAL35F18 f3.5 ISO200 )

DSC07915
(α900 SIGMA 2470 EXDG f3.5 ISO200 )

変らん・・50ミリ固有の奥行きとは何なんだ?という事になる。

SAL35F18の方が、大きく見えるのは、換算52mmなのに対して、
α900のズームでは、ピッタリ50mmの所で撮っているからだ。
少なくとも、本来の50ミリの方が背景が立って来るという事はない。

DSC01745
(α700 SAL35F18 f2.8 ISO1600 )

DSC07954
(α900 SIGMA 2470 EXDG f2.8 ISO1000 )

手前と後ろの大きさ関係、ほぼ変らないですよね。

奥行きとは、要するに遠近感の事で、
遠近感とは、被写体Aと、前後する位置の被写体Bとの、大きさの比率って事です。
それって、画角で変る筈ですよね?
それとも広角で撮ったものも、拡大すれば、望遠のように背景が立って見えるって事?

つまり、同じ撮影倍率なら、焦点距離によって遠近感も異なるが、
同じ距離から撮ったものを、同じ倍率にする(片方を拡大する)と、遠近感は同じ。
これらの比較をフルサイズ側から見れば、

同じ距離から50ミリと35ミリで撮影し、35ミリの方をトリミングで同じ拡大率にした例。

という事になる。

つまり同じ位置から、200mmと28mmで撮影し、
28mmのほうの被写体が、200mmのものと同じ大きさになるように拡大したら、
遠近感も同じになる・・・ホントか?

ズームを使ってみれば、直ぐわかる・・

DSC08182
(α900 SIGMA 2470 EXDG 35mm f2.8 ISO200)

DSC08183
(α900 SIGMA 2470 EXDG 70mm f2.8 ISO250 )

DSC08182t
(35mmを70mm相当にトリミング)
ホントだ。。
70mmも35mmも被写体間の遠近感自体は、同一なのだ。


DSC08194
(α900 SIGMA 2470 EXDG 24mm f2.8 ISO200)

DSC08195
(α900 SIGMA 2470 EXDG 70mm f2.8 ISO400 )

DSC08194t
(24mmを70mm相当にトリミング)

24mmだと、背景の大きさが違うように見えますが、
これは70mm側とのボケの差で、被写体の遠近感によるものではないんだ。
つまり、

撮影距離が同じであれば、どんな画角でも遠近感は変らない。

これを、遠近感不変の法則と言っておこう
・・これが、冒頭の回答NOに相当するものだ。

これには一瞬「ん?」「ちがうだろ・・」と思わないか?
でも、そうなんだ。
撮影倍率と拡大倍率をごっちゃにすると解り難いけど、
イメージサークルそのものは関係ないんだよね・・それは拡大率の問題。

DSC08190
(α900 SIGMA 2470 EXDG 35mm f2.8 ISO200)

DSC08192
(α900 SIGMA 2470 EXDG 50mm f2.8 ISO200)

DSC08191
(α900 SIGMA 2470 EXDG 70mm f2.8 ISO400 )

DSC08190t
(35mmを70mm相当にトリミング)

DSC08192t
(50mmを70mm相当にトリミング)

綺麗に同じだ。。
それにしても、70mmノートリよりも、広角側を面積比1/4にトリミングした方が、
画質がいいというのは、どういう事だ?(苦笑)

一方、撮影倍率が同じなら、全ての画角で遠近感は異なる。
これはわかりやすい。
同じ画角での撮影倍率の違いとは即ち、撮影距離の違いだ。
また、
異なる画角で撮影倍率が同じとはやはり、撮影距離が違うのだ。
つまり、

撮影距離が異なれば、どの画角でも遠近感は異なる。

ただそれだけの事だったんだ。
これを、遠近感不同の法則と言っておこう
・・これが、冒頭の回答YESに相当するものだ。

一般には、この後者の方を叩き込まれているため、前者の事を忘れていないだろうか?

写真やレンズの基本書には、必ず、

広角レンズでは遠近感が強調され奥行きのある表現が出来ます。
望遠レンズでは遠近感が圧縮され、被写体に立体感を与えます。

こう書かれているが、
「被写体の撮影倍率が同じ場合、」と頭に条件を付けなければ、正しい表現ではない。

同じ距離からなら、広角も望遠もなく、どんな画角でも遠近感は一律。。
そういう事なんだよ。

この理屈だと28mmで撮ったものを、トリミングで300mmのように見せる事も可能な訳だ。
ボケは違うから、サンニッパには化けられないけどね。
実際、コンデジはそういう理屈で、拡大率が大きい短焦点距離という事になる。

LX3はステップズームになっていて、開放F2.7の時、35ミリ換算で52mmになる。

DSC01747
( α700 SAL35F18 f1.8 ISO800 )

P1020604
( DMC-LX3 11.1mm f2.7 ISO500 )

さすがコンデジで、後ろに合掌してしまったが、
この通り、コンデジの標準域でも遠近感は変らない。

撮影距離が同じだからだ。

え?焦点距離:イメージサークルの比率がたまたま同じだから?
そんな事はない。コンデジのアスペクト比の基本は4:3で、
一眼レフの3:2と異なるというだけでも、そこは違う。
イメージサークル?それは拡大倍率の問題でしかないのだ。

もう一度言おう・・

撮影距離が同じなら、どんな画角を使っても遠近感は同じ。

普通の人には、当たり前の事なんだが、
レンズな人には、固有の画角というのに思い入れがあり過ぎて、
勘違いしてた人も・・・それ私だけ??

例えば、28ミリのレンズをAPSCに付けて、画角的には42ミリになっても、

「奥行きはあくまで28ミリのものだ。それは標準レンズとは全く異なる」

と思い込んでたけど、真逆で、元の焦点距離と遠近感は、全く関係無かったんだな。

「なんか標準50ミリの奥行きに感じない・・」という思い込みは、
単焦点は、いつも中望遠ばかり使ってるから、そう感じるだけなのか?
あるいはこのレンズのやや固めの描写がそう感じさせるのか?

ただひとつ言える事は、APSCとフルサイズを同時に使うと、
フルサイズの画面は圧倒的に大きく広く感じる。
要は、いつも全体を見ているようで、真ん中しか見てない・・
小さい画面のAPSCでは常に全体が見えるから、
同じ画面構成でも、より広角的に見える・・という事かもしれない。
ファインダー越しにはフルサイズを見てても、
脳内でクロップされてたかもしれないという事だ。

やっぱり私が難しく考え過ぎてたんでしょうか?

でも、この「法則」を意識してるのとしてないのでは、
ズームを使う時に違いが出る様に思います。

例えば、ズーミングをしていても、
「なんかイメージと違うな?」
というときは、撮影距離を変える・・つまり遠近感を変えてみればいいかもしれない。

被写体の大きさは丁度いいんだが、バックが遠過ぎる・・
この時、ズーミングでは解決出来ない。
被写体から離れて、望遠側にズームすれば丁度良くなる。

被写体の大きさは丁度いいんだが、バックがデカ過ぎて訳わからん・・
この時は、被写体に近づいて、広角側にズームすればイメージに近づく。

ズームというのは、画角を変えるだけで、遠近感までは変えられないが、
逆に言えば、遠近感を変えずに、画角を変えられるという事でもある。
単焦点では、動けば遠近感も変ってしまう。
更に、ズームでは、アングルを変えることもなくそれが出来る。

そう考えると、シビアなフレーミングに於いて、ズームは便利というより、
必需品て事だな。。
風景な人達が、赤帯ズームをぶら下げてるのは、ラクをするためじゃない。
イメージを守るためなんだよ。

とにかく、

DSC01141
( α700 SAL35F18 f2.8 ISO200 )

歩かなければ何も変らないって事さ。


でもこう色々撮ってみるとやっぱり、50ミリって好きだなー。

DSC08132
( α900 SIGMA 2470 EXDG 50mm f2.8 ISO200 )

何と言うか・・独特の奥行きがいい(笑)。