先月24日に同時発表された、α77とNEX-7ですが、
前評判としては、NEX-7の方が好評なようで、予約も77を上回っているようです。

http://www.sonyalpharumors.com/amazon-us-the-nex-7-gets-more-proeorders-than-the-a77/

私は、このカメラがどういう層をターゲットにしているのか不明でしたが、
一体何が受けているのでしょうか?

一番には、時代の関心が一眼レフではなく、ミラーレススタイルである。
という事ですが、それだけではないと思います。

先ずNEX-7の大きさは、NEX-3の一回り上位で、フジのX10よりは余裕で小さく、
コンパクトな一眼である点は変わりません。
私のように、カメラケースを履かせて使っている人は、それだけで1cm程底上げ
されるので、現状でもNEX-7と大して変わらないと思います。

以上は一般ユーザも含めてのNEX-7の印象ですが、
このカメラに限っては、カメラファンから見た場合の魅力がポイントだと思います。



NEX-5までは、カメラとして見た場合、一眼レフ>ミラーレス。
簡単に言えば、画質はともかく、操作系はコンデジという印象だったのですが、
NEX-7では、カメラとして本格的に向き合える装備を持つようになった事。
・・ビューファインダーの装備。
・・NEX-7のインパクトとなっている、2つのダイアルによるカスタマイズ。
・・内蔵フラッシュ装備。
・・マグネシウム合金によるボディの質感。

などでしょうか?
特に2番目は、αやR1のグリップ前後にあるダイアルの代わりになるようなもの
でしょうから、操作性はかなり変わるでしょう。
つまり、コンパクトさに惹かれつつも、NEXはコンデジ・・レンズがゴミ・・
と二の足を踏んでいたカメラファン。。ここを狙ったんでしょう。
これなら、使って愛着の湧きそうなカメラだ!と思える魅力を備えた訳です。
(私的には、上の3つは全て要らないですが。。)

そして、ソニーの製品として見た場合、ミノルタ資産を引き継いだαより、
何よりソニーらしい・・という点も、スマートに映るのではいでしょうか?

もひとつ、α77自体が、自分の足を引っ張っているという点もあります。

価格コムのクチコミ数自体は、α77の方が圧倒的に多いですが、
これは、ディスコンから2年以上も次機種を待たされたα700のユーザを中心に
「どうなんだ!どうなんだ?」と賛否両論の物議を醸しているだけで、
NEX-7の方は、「いいじゃないかこれ♪」というストレートで健康的な内容なんですね。

こういう、あまり不満を呼ばない所では、カキコミは増えません。
α中級機は、2年も不在だったのです。その沈黙を破って登場したのですから、
もっとユーザが飛びついていい筈ですのに?なぜNEXに負け気味なのか?

そもそも、ミラーレスが台頭していても、敢えて重い一眼レフを買おうとする人・・
どういう理由があるのでしょうか?

先ず重要なのは、既存レンズ資産との互換を維持して、本体のブラッシュアップ。
という事で、これはメーカーからしても、一眼レフシステム継続の基本ですね。

そして既存の一眼レフユーザは、その操作性を大事にします。
一眼レフの魅力は、画質だけではなく、操作性にもあります。

ひとつは、従来カメラからのオーセンティックな部分。
・・ここを裏切ると、結構そっぽを向かれます。
実際、一眼レフユーザには、OVF要望が多いですが、
NEXを買おうとする中で、そんな声はひとつもありません。
ビューファインダー自体は、必須装備のように言われていますが、
NEXなら、EVFでも全然構わないのです。

まぁミラーがないので、物理的に作れない訳ですが、
フジX100のようにRF化する方法もない訳ではないですね。
ただ、新世代であるミラーレスに、そんなアナログなものは、
誰も求めていないのではないでしょうか?

逆に言えば、一眼レフは、アナログ的な点に価値があるのかもしれません。
それは趣味性の問題だけでなく、写真撮影の本質上重要な点もあります。
・・デジタルは、アナログに完全に取って代わる程進んでないからです。

もひとつは、操作性自体がニュートラルである事・・自由度です。
コンデジやNEX-5までのミラーレスは、どちらかというと
「こう使って下さい」というお仕着せ感が強いものがあります。
ここが、高価な機種になるほど、「どういう様にも使って下さい」と
カメラ自体の主張は弱くなり、耐久性や基本性能がアップされる・・
これが、一眼レフの便利さという点では一番重要と感じるのですが、

α77では、どうもそのお仕着せ感が強くなり、
動画や連写を必要としないユーザには、余計なものばかりが装備され、
本来便利と感じていたものが無くなった感が否めません。

連写は、私のデジイチ購入の動機のひとつなので、私的には重要です。
900でも700でも、デフォルトは連写Hiになっていて、
そこを動かすのは、街撮りなどの時だけです。
なので、秒12連写ってのは、たしかに魅力ですよ・・
1秒あれば、猫は2〜3メートルは移動しますから。

ただ、RAWでどれだけ継続出来るのでしょうか?
連写は一瞬を分割するためではなく、流れをフォローするためと思ってますから、
分割し過ぎてバッファが一杯になり、流れを追えなかったら、ただのスペック自慢です。

連写の縛りとして、絞りはF3.5以上、あるいは開放という制約があるそうですが、
連写では当然早いシャッター速度が必要なので、自分の経験上は、
実害はないように思えます。。もちろん、AFが本当に追いきれるのなら。。ですが。

ただ、動くものを連写する場合、被写界深度を少しでも稼ぎたい=絞る。
更にシャッター速度を稼ぐために、高ISOにする。
というのは、よく考える事ですから、絞れないというのも結構問題です。
AFが本当に優秀(絞らなくてもピントが合う)か、高速連写以外は絞りの制約なし・・
でないと、難しいですよね。

ただ、NEX-7を欲しがってる人の多くは、

レンズの事を忘れてないか?

たしかに黒塗りのSEL1855はカッコいい・・一目惚れで飛びつく人も居るかもしれない。
あるいは、皆がオールドレンズを基本として使うユーザなのか?
だったら解りますが、私はソニーがこの後者をターゲットにNEX-7を出したとは、
まさか思えませんでしたので。。

私的には、NEXがオールドレンズの使い勝手に良いと言っても、
APSCで、レンズ本来の画角を使えないNEXにこの価格はありません。

現行レンズで「これは!」と思うものが2、3本は揃ってないシステムに、
やはりこの価格はありません。

そもそも今の使い勝手において、NEX-3で不満はなく、
あるとしても、それは7で改善されていません。
それは、ボディ内手ブレ補正ジョイスティックの装備だ!


一方、NEX-7>A77の図式がこのまま続けば、それはソニーから見れば、
ミノルタの継承商品より、ソニーオリジナルなNEXの方が正しい!と映るでしょう。

実は、NEX-7の強引な開発の真意は、マニア救済云々では勿論なく、
一旦、一眼レフと同じ土俵に並べて、どちらが支持されるかにより、
今後の注力方向を決定していくためではないか?
とも感じてる訳です。
その意味で、A77は明らかに損な性格付けをされてしまったと思うのです。

ソニーはたぶんカメラではなく、イメージ取込みデバイスを作ろうとしている。
と思います。
画質に関しては、ソニーの受光素子も今後3層になっていくでしょうし、
本体はまぁそれでも良いですが、
ただ、上述したようなニュートラルな操作性を目指して欲しいと思います。

重要なのは、レンズにどういう思想を持つかという事なので、
Eマウント主力になっても、現行のZAに並ぶようなレンズを大事にするのであれば、
フルサイズでもAPSCでも構わないと思います。

ただ、カメラにジョイスティックは必須だ!それについては次回。。